警戒地域レベルアップ
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2016年9月21日発行(Vol.16,No.38)
トピックスと地震予測サマリ-
トピックス
今回、南西諸島をレベル3から4にいたしました。 これは、前々回に続きフィリピン海プレートの境界線沿い付近に異常変動が集中しているので、 南西諸島~南海~東南海~東海~伊豆諸島を警戒していただきたいということです。
ご警戒ください。
〇警戒レベルアップ地域
南西諸島(レベル3→4)
〇警戒レベルダウン地域
なし
地震予測サマリー
〇概況
・週間変動(H)で4cm超の異常が見られた点は前々回と同様きわめて多数に上り173点。 その内5cm超の点は27点。 今回まとまって異常変動(H)が見られた都道府県を上げると南から沖縄県(17/2・・・4cm超の点の数/そのうち5cm超の点の数)、 鹿児島県(14/5)、高知県(11/2)、徳島県(11/6)、和歌山県(10/1)、三重県(8/0)、静岡県(27/2)、東京都(11/4)、 千葉県(6/0)。 これらを概観すると南西諸島、南海、東南海、東海、伊豆諸島と沖縄から関東にかけて 太平洋側に連鎖的に異常変動がみられる。
・X,Y,Zの4cm超の週間異常変動を示した点はXで静岡県宇佐美の4.1cm、鹿児島県の上屋久1の4.1cmで2点あり。 Yが4cm超は西表島の4.6cm、上屋久1の4.3cm、上屋久2の4.1cmで3点あり。 Zが4cm超は上屋久1の5.3cm、上屋久2の5.1cmで2点あり。上屋久1はXYZ全部で4cm超。
・隆起・沈降は、全国的に沈降。
〇レベル5
(震度5以上の地震の可能性が極めて高く緊急性がある)
南関東周辺
〇レベル4
(震度5以上の地震が発生する可能性が極めて高い)
南海・東南海地方
南西諸島
九州
東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
鳥取県・島根県周辺
北信越地方・岐阜県
〇レベル3
(震度5以上の地震が発生する可能性が高い)
北海道釧路・根室・えりも・中央部周辺
北海道道南・青森県
〇レベル2
(震度5以上の地震が発生する可能性がある)
山口県・福岡県・大分県・愛媛県の周防灘、伊予灘、豊後水道に面する地域
〇レベル1
(何らかの異常変動があり、今後の推移を監視する)
北海道北部
琵琶湖周辺
※X,Y,Z,Hの解説はこちら
http://www.jesea.co.jp/xyzh/
・JESEAは、国土交通省国土地理院の電子基準点データを解析し、 1週間の短期的な高さの変動を表す「週間変動図(H)」と約2~3年間にわたる長期の異常変動の傾向を示す 「隆起沈降図(H)」を毎週掲載し、同じく約2~3年間にわたる長期の傾向を示す 「東西変動図」、「北南変動図」、「水平変動図」の3種類を週替わりで1つずつ掲載しています。
そして水平方向と垂直方向の4週前との変動を矢線と色で表した「水平ベクトル図」も毎週掲載し 多角的に地殻の変動を示します。
・短期的な変動である「週間変動図(H)」と「水平ベクトル図」は毎週変動しますが、 そのほかの図は長期の傾向なので、1週間では変化は少ないですが3週間くらい経つと異常変動が変化していくのが分かります。
【目次】
1.地震予測
2.地震情報一口メモ
3.皆様の街の電子基準点
1.地震予測
レベル5:南関東周辺
9月17日、千葉県東方沖を震源とする震度3の地震が起きました。
今回5cm超の異常変動(H)が見られた点は、東京都の大島3で5.0cm、三宅3で5.2cm、御蔵島で5.2cm、南鳥島で5.0cmでした。
隆起沈降図を見ますと駿河湾沿いの西側の地域の沈降が目立ちます。 八丈島が沈降に対し、大島、三宅島は隆起しています。 茨城県の北茨城と三和の高さの差は依然として大きいです。 Xの値で千葉県の北部にある干潟と南部の館山の格差も大きいです。 この周辺はひずみが貯まっていますので要注意です。
東西変動図を見ますと、伊豆半島南部、大島、新島、八丈島は西変位、他の地域は東変位をしています。 ひずみが貯まっていますので要注意です。
水平ベクトル図を見ますと、水平ベクトルの向きが複雑に異なる方向をむいており不安定です。 ひずみが貯まっていますので要注意です。
異常が激しいですのでレベル5を続けます。
(参照 図1、図2、図3、図4)
レベル4:南海・東南海地方
紀伊水道、愛媛県南予で小地震が起きています。
今回5cm超の週間異常変動(H)が見られた点は、高知県の中村2で5.4cm、物部で5.7cm、 徳島県の佐那河内で5.4cm、徳島勝浦で5.1cm、相生で5.7cm、阿南1Aで5.4cm、徳島で6.0cm、鳴門で5.8cmでした。
隆起沈降図を見ますと高知県南部および徳島県が沈降しているのに対し、愛媛県を中心に四国西部は隆起しています。 和歌山県の南部から三重県の太平洋側に沈降が広がりました。
東西変動図を見ますと、高知県、和歌山県南部は西変位、他の地域は東変位をしています。 特に室戸岬は西変位が大きく要注意です。
水平ベクトル図を見ますと太平洋岸と内陸部で異なる向きをしておりひずみが大です。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図1、図2、図3、図4)
レベル4:南西諸島
沖縄本島近海で小地震が起きています。
今回5cm超の週間異常変動(H)が見られた点は、西表島で6.2cm、伊是名で5.1cmでした。
隆起沈降図を見ますとこの地域は全体的に沈降しています。
水平ベクトル図を見ますと南東変位が比較的大です。
レベル3から4へとします。
(参照 図1、図2、図4)
レベル4:九州
依然として熊本地方には余震が続いています。
5cm超の週間異常変動(H)が見られた点は鹿児島県の瀬戸内で5.1cm、鹿屋で5.4cm、 桜島で5.6cm、上屋久1で7.8cm、上屋久2で7.0cmでした。
隆起沈降図を見ますと九州東岸、長崎県の一部と桜島以外沈降しています。対岸の山口県西部も沈降しています。
東西変動図を見ますと熊本県東部、大分県南部および宮崎県北部は大きく西変位に対し他の地域は東変位。 色の境目に注意が必要です。
水平ベクトル図を見ますと熊本と大分を結ぶ線の南北で異なる向きをしていてひずみは大です。
火山活動も視野に入れて注意が必要です。
九州は熊本地震による余震や新たなひずみの発生などのため、しばらく期限を設けません。
(参照 図1、図2、図3、図4)
レベル4:東北・北関東の太平洋岸、奥羽山脈周辺
宮城県沖、岩手県沖で震度3の地震が起きています。この地域は地震常襲地帯になっています。
今回奥羽山脈付近で4.0cm超の週間異常変動(H)が6点ありました。
隆起沈降図を見ますと東北・北関東の太平洋岸が隆起しているのに対し、秋田県および山形県を中心とする奥羽山脈は沈降しています。 隆起・沈降の境目および隆起エリアおよび沈降エリアが急減する地域はひずみが貯まっていますので要注意です。
水平ベクトル図を見ますと、岩手県、宮城県、秋田県、山形県および福島県は大きく南東方向に変位をしております。
9月までレベル4とします。
(参照 図1、図2、図4)
レベル4:鳥取県・島根県周辺
隆起沈降図を見ますと鳥取県、島根県周辺は広く沈降しています。
水平ベクトル図を見ますとこの地域はほぼ南東変位をしています。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図2、図4)
レベル4:北信越地方・岐阜県
長野県南部で小地震が起きました。 今回長野県、岐阜県、石川県および福井県で4cm超の異常変動(H)があった点は12点あり、 その内5cm超は石川県の松任で5.5cmでした。
隆起沈降図を見ますと、石川県および福井県の日本海側および岐阜県で沈降が見られます。 この地域はまだ不安定ですので注意が必要です。
東西変動図を見ますと東西に延びるベルト地帯で色が急変しているところはひずみが貯まっていますので要注意です。
10月ごろまでレベル4とします。
(参照 図1、図3、図4)
レベル3:北海道釧路・根室・えりも・中央部周辺
隆起沈降図を見ますと依然として根室・釧路周辺には沈降が残っています。
東西変動図を見ますと青色から緑色に色が変わる周辺はひずみが貯まっていると考えられます。
11月ごろまでレベル3とします。
(参照 図3、図4)
レベル3:北海道道南・青森県
9月20日、内浦湾を震源とする震度3の地震が起きました。
今回4cm超の週間異常変動(H)を示した点は北海道道南の椴法華(とどほっけ)Aで4.1cm、北海道西部の島牧で4.6cmでした。 隆起沈降図を見ますと松前と奥尻で沈降が見られます。
水平ベクトル図を見ますと北海道の道南側は南の向きに変位しているのに対し青森県側は南南東変位と向きを変えております。 ひずみが貯まっています。 12月ごろまで監視をします。
(参照 図1、図2、図4)
レベル2:山口県・福岡県・大分県・愛媛県の周防灘、伊予灘、豊後水道に面する地域
隆起沈降図を見ますと、大分県東部、宮崎県北部および四国西部が隆起しています。他の地域は沈降しています。
レベル2とし、今後の監視を継続します。
(参照 図4)
レベル1:北海道北部
北海道留萌地方で小地震が起きました。 今回は静謐ですが、引き続き監視をします。
レベル1:琵琶湖周辺
今回は静謐です。隆起沈降図を見ますとこの地域は隆起と沈降の狭間に当たります。 引き続き監視をします。
(参照 図4)
図1.週間変動図(H)
計測期間:9月11日~9月17日 速報解(R3データ)使用
hensa
週間変動図(H)の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/1009210/
図2.水平ベクトル図
計測期間:9月11日~9月17日 速報解(R3データ)使用
vec
図の見方は、水平方向の動きを矢線で、垂直方向の動きを色で表します。 背景画像は4週前の週平均値を基点としたH(高さ、正式には楕円体高)の隆起沈降段彩図(色別の等高図)です。
その背景画像の上に4週前と比べてどの方向に水平変動したかを矢印の向きと長さ(変動の大きさ)で表しています。 短期的な動きを捉えることができます。
矢印の向きが異なるエリアはひずみが貯まっていることを意味します。
1:道南・青森:南変位が南南東変位に移行する境目に注意が必要。
2:東北地方:大きく南東に変位しており注意が必要。
3:南関東周辺:水平ベクトルの向きが複雑に異なる方向をむいており不安定で注意が必要。
4:南海・東南海:太平洋岸と内陸部で異なる向きをしておりひずみが大きく注意が必要。
5:九州:熊本と大分を結ぶ線の南北で異なる向きをしていてひずみは大きく注意が必要。
6:南西諸島:南東変位が比較的大きく注意が必要。
水平ベクトル図の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/4009210/
図3.東西変動図
計測期間:8月28日~9月3日 最終解(F3データ)使用
touzai
図の見方は、緑色、黄色、橙色、赤色、茶色はプラスで東方向に変動していることを表しています。 薄青色、濃青色はマイナスで西方向に変動していることを表しています。 プラスとマイナスが正反対方向に変動する境目や変動が急変している境目の場所はひずみが貯まっていて 地震の時に大きく揺れる可能性が高いです。
1:釧路・根室・えりも:青色の急減する地帯に注意が必要。
2:道南・青森:色の急変部に注意が必要。
3:中央東西帯:色が急変している帯は注意が必要。
4:南関東周辺:房総半島南部、大島、新島、八丈島は西変位に対し他の地域は東変位。ひずみが貯まっており注意が必要。
5:南海・東南海:高知県、和歌山県南部は西変位、他の地域は東変位。特に室戸岬は西変位が大きく注意が必要。
6:九州:熊本県東部、大分県南部、宮崎県北部の色の境目に注意が必要。
東西変動図の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/3009210/
図4.隆起沈降図(H)
計測期間:8月28日~9月3日 最終解(F3データ)使用
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2014年1月を基点としたH(高さ、正式には楕円体高)の隆起沈降段彩図(色別の等高図)です。
黄緑・黄色・赤・茶色は数値がプラス(隆起)、青色系統の色はマイナス(沈降)を意味します。 濃い色ほど値が大きいです。地域ごとにどのような傾向があるかを見てください。
1:根室・釧路周辺:沈降があり注意が必要。
2:東北:隆起と沈降の境目および色の末端部に注意が必要。
3:南関東:駿河湾沿いと八丈島は沈降。大島、三宅島は隆起しており注意が必要。
4:北信越・岐阜:隆起と沈降が混在しており注意が必要。
5:四国:高知県岬部、徳島県、和歌山県および三重県南部が沈降、四国西部は隆起しており注意が必要。
6:鳥取・島根:沈降が広く分布しており注意が必要。
7:九州:九州東岸と桜島、長崎県以外沈降。また山口県西部も沈降しており注意が必要。
8:南西諸島:全体的に沈降しており注意が必要。
隆起沈降図(H)の拡大図はこちら
http://www.jesea.co.jp/2009210/
2.地震情報一口メモ
[No.183:東日本大震災から5年No.14~ハイブリッド式非常用小型発電機]
地震災害時には都市ガスが止まることが多いです。ガス管の復旧は一番時間がかかると言われています。 その点プロパンガス(LPガス)はボンベですので津波にも壊れず簡単に点火できます。
この利点に着目して、LPガスを使用した小型発電機の開発をした会社があります。 岩手県大槌町の金属加工メーカーの「山岸産業」です。 津波で工場が全壊しましたが、16人の従業員は全員助かったそうです。 がれきの撤去をしているときにLPガスのボンベが沢山転がっていることに気が付きこのアイデアが生まれたと言います。
この小型発電機は、一般家庭にある50kgのボンベ1本で連続30時間の発電(定格出力5.0kVA)が可能です。 ホットプレート、炊飯器、電気ポット、冷蔵庫などの使用が可能です。 すでに高齢者施設や自治体などに160台(2015年2月データ)を納品したと言います。 LPガスだけでなくガソリンでも発電できるハイブリッドになっています。 平常時にも使用しておくと災害の非常時に役立つと言います。 普段は焼き肉パーテイなどに使うのもお勧めだと言います。
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